
【AGCの挑戦】旭硝子が塗料樹脂の開発に至るまでの知られざる歴史
2025/05/25
こんにちは。今回は、日本を代表するガラスメーカー「旭硝子(現:AGC株式会社)」が、どのようにして塗料樹脂の分野に進出し、開発を進めていったのかを、歴史的な視点からたどってみたいと思います。
1. そもそも旭硝子とは?
旭硝子は1907年(明治40年)に創業された日本初の板ガラス製造会社です。当初は国内の建築需要に応えるべく、ガラス製品の国産化を目的として設立されました。
その後、建築用ガラス、自動車用ガラス、さらには電子材料など、多角的に事業を拡大していきます。
2. 化学素材事業への進出
旭硝子が化学分野に足を踏み入れたのは戦後の高度経済成長期。特に1960年代から70年代にかけて、同社はフッ素化学や塩ビ(PVC)樹脂の分野に投資を強め、ガラスに次ぐ柱として「化学事業」を育成していきました。
ここが塗料樹脂への布石となります。
3. なぜ塗料樹脂なのか?
塗料樹脂とは、塗料の中でも「バインダー」として働く成分で、顔料を定着させたり、表面に膜を作ったりする役割を担っています。耐候性や耐熱性などが求められるこの分野では、高機能樹脂が不可欠。
旭硝子が塗料樹脂に目を付けたのは、自社が持つフッ素技術との親和性にありました。
4. フッ素樹脂から塗料樹脂へ
1970年代、旭硝子はフッ素樹脂「フルオン®(FLUON®)」を開発。これは高い耐薬品性・耐候性・非粘着性を持つ樹脂で、工業用途に広く用いられました。
この技術を応用し、建築用や工業用の高耐候性塗料に使える樹脂素材の開発が始まります。
5. ライセンス契約と独自開発
旭硝子は、当初は米国の化学メーカー(例:デュポン)との技術提携によってフッ素技術を導入。その後、自社開発を強化し、独自の塗料樹脂を製品化するようになります。
1980年代以降、「ルミフロン®(LUMIFLON®)」というブランド名で、世界初の溶剤可溶型フッ素樹脂塗料を発売。これは高層ビルや橋梁など、過酷な環境下でも長期耐久性を発揮する画期的な製品でした。
6. 現在のAGCと塗料樹脂事業
現在、AGCは塗料樹脂分野でグローバルに展開し、特にルミフロンはアメリカ・アジア・中東などでも高く評価されています。環境対応や持続可能性が求められる中、低VOCや水性塗料への対応も進められており、時代と共に進化を続けています。
まとめ
旭硝子は「ガラスの会社」というイメージが強いかもしれませんが、実は素材開発における先進企業でもあります。特に塗料樹脂の分野では、ガラスで培った素材技術や、フッ素化学の応用力を活かし、世界でもトップクラスのシェアを築いています。
ガラスから化学、そして塗料樹脂へ。旭硝子の歩みは、日本の素材産業の進化そのものとも言えるでしょう。
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